バウティスタ・アグートが今シーズンも快調にシーズンをスタート(ドーハ/カタール)

ATPツアー

安定感と爆発力

ドーハでのシーズン開幕戦を制したのは、スペインのバウティスタ・アグートだった。ランキング1位のジョコビッチを準決勝で破っての優勝だけに価値も大きいと言えるだろう。

2014年の5月から実に5年近くも30位以上のランキングを保っているバウティスタ・アグートの最大の持ち味は、好不調の少ない安定感だろう。しかし、それは爆発力の弱さとも言えるかもしれない。

バウティスタ・アグートのグランドスラムでの成績を見ると、ベスト16に9回進出していながら、意外なことにベスト8に進出したことがまだ無い。

過去のグランドスラムのベスト16でバウティスタ・アグートが負けた相手は、全員トップ10経験者なので、最高ランキングが13位のバウティスタ・アグートにとって厳しい相手だったことは間違いない。しかし、大きな大会ではトップ選手を破らなければ、ある程度から先に進むことは出来ない。

そして、バウティスタ・アグートはトップ10選手との対戦成績で、8勝46敗と大きく負け越している。この勝率は、バウティスタ・アグートと同じランキング20位台にいる選手の中で一番悪いわけではないが、トップ10選手と50回以上対戦している選手に絞ると一番低くなってしまう。長く30位以上に留まりながら、その上に進むことを阻まれているバウティスタ・アグートの状況をよく示している数字なのかもしれない。

■トップ10選手との対戦成績
ATPランク(18/12/31)選手勝敗(VS TOP10)勝率(VS TOP10)
20バウティスタ・アグート8勝46敗0.148
21チェッキナート1勝5敗0.167
22バシラシビリ3勝9敗0.250
23ゴファン14勝44敗0.241
24カレーニョ・ブスタ3勝24敗0.111
25チョン・ヒョン1勝13敗0.071
26ガスケ32勝99敗0.244
27シャポバロフ1勝6敗0.143
28ベルダスコ27勝100敗0.213
29モンフィス32勝75敗0.299
30シモン32勝89敗0.264

しかし、誰もが対戦に苦労するナンバー1のジョコビッチに対してバウティスタ・アグートが勝利するのは、このドーハを含めて2回目である。2016年の上海マスターズの準優勝は、準決勝でジョコビッチを破った結果、もたらされたものだ。

バウティスタ・アグートも今年の4月には31歳となる。2014年から4年連続でグランドスラム2大会以上でベスト16進出を果たしていたが、昨年はグランドスラムのベスト16に進出することは出来なかった。

バウティスタ・アグートのキャリアが、終盤に差し掛かって来ていることは間違いない。しかし、バウティスタ・アグートはまだ衰えてはいない。何より、シーズン開幕戦でジョコビッチを破って優勝出来たことがその実力を証明しているだろう。バウティスタ・アグートにグランドスラムの上位進出を果たすチャンスが訪れる回数は、決して多くはないかもしれないが、そのチャンスは必ずまた訪れるはずだ。

復活を期すベテラン選手

準優勝だったベルディヒの活躍も見逃せないだろう。

何しろベルディヒは、背中に故障のために昨年6月からトーナメントでプレーをしていなかったのだ。ランキングも71位まで落ちてしまったが、復帰戦で、コールシュライバー、ベルダスコ、エルベール、チェッキナートといったベテランから中堅の実力者を破ってツアーの決勝に勝ち上がれたことは、予想外とも言える良い結果ではないだろうか。今シーズンの終わりには34歳になるベテランの今シーズンの活躍に期待したい。

そして、同じく今シーズンで34歳になるワウリンカも復活を期す1人だろう。

膝の手術のためにウィンブルドン以降を欠場したのは、一昨年となる2017年のことだ。しかし、2018年は全豪で復帰したものの、テニス自体は復調せず、さらに膝や背中の怪我に苦しんだこともあって、一時はランキングが261位にまで落ち込んでしまった。戦績も17勝17敗で、手術をして半年を欠場した2017年シーズンの26勝11敗を下回る結果となった。

しかし、今シーズンの初戦で、ワウリンカは若手の注目株、ランキング11位のハチャノフを破ったのだ。

ベルディヒ、ワウリンカのピークは過ぎた。

恐らく多くの人がそう感じているだろう。

実際、彼ら2人のピークが高いだけに、その声を黙らせることは容易とは思えない。しかし、ベルディヒも、ワウリンカも、このドーハでトップクラスの選手を相手にしても十分戦えることを証明した。

彼らが復活出来るのか、少なくとも今シーズンが終わってみるまで、まだ分からない。

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