トップ選手の離脱がもたらしたもの

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今年のATPツアーからはトップ選手の離脱が相次いだ。

生涯グランドスラムを達成した昨年の全仏まで圧倒的な力を誇ったジョコビッチ。そのジョコビッチを上回り、ついにナンバー1に輝いたマレー。そして、昨年のUSオープンを制して生涯グランドスラム達成のチャンスを得たワウリンカ。

彼らは既に今年の残りシーズンの欠場を発表している。



今と同じ時期の昨年のATPランキングの上位3人は、ジョコビッチ、マレー、ワウリンカだったのだ。彼ら全員が翌シーズンの後半戦に出場しないなど誰が予想しただろうか。

■今年と昨年のATPランキング(10月第3週時点))
ATPランク2016年(10/17付け)2017年(10/16付け)
1ジョコビッチナダル
2マレーフェデラー
3ワウリンカマレー
4ラオニッチチリッチ
5錦織A.ズベレフ
6ナダルティーム
7モンフィスジョコビッチ
8フェデラーディミトロフ
9ベルディヒワウリンカ
10ティームゴファン

フェデラーとナダルの復活


昨シーズン、目覚ましい活躍をしていたジョコビッチ、マレー、ワウリンカが獲得したタイトルは、今シーズン誰の手に渡ったのだろうか?

■ジョコビッチ、マレー、ワウリンカが昨年取得したビッグタイトルの行方
 2016年優勝2017年優勝
全豪オープンジョコビッチフェデラー
インディアンウェルズジョコビッチフェデラー
マイアミジョコビッチフェデラー
モンテカルロナダルナダル
マドリードジョコビッチナダル
ローママレーA.ズベレフ
全仏オープンジョコビッチナダル
ウィンブルドンマレーフェデラー
ロジャーズカップジョコビッチA.ズベレフ
リオ・オリンピックマレー-
シンシナティチリッチディミトロフ
全米オープンワウリンカナダル
上海マレーフェデラー
パリマレー
ATPファイナルマレー

彼らが2016年に獲得したビッグタイトルと、そのタイトルを今年獲得した選手を並べてみると、ジョコビッチ、マレー、ワウリンカの3人が抜けた穴を見事なまでにフェデラーとナダル、そして、A.ズベレフが埋めていることが分かる。

本来ならA.ズベレフの20歳でのマスターズ2勝という結果は驚愕すべきもののはずだが、それが霞んでしまうほど、今シーズンのフェデラーとナダルの復活は劇的だった。

今年のグランドスラムをフェデラーが全豪とウィンブルドン、そしてナダルが全仏と全米を制し、仲良く2人で2つずつのタイトルを分け合ってしまった。しかも、ナダルは通算10度目の全仏制覇、フェデラーはウィンブルドンだけで8度目、グランドスラム通算で19度目のタイトルという歴史的偉業のおまけつきである。

9つあるマスターズにおいては、昨年はジョコビッチとマレーで7つのタイトルを獲得し、ナダルとチリッチが1つずつという内訳だったが、今年はパリの1戦を残した状態で、フェデラーが3勝、ナダルとA.ズベレフが2勝ずつ、ディミトロフが1勝という内訳となっている。

怪我によりツアーから離脱していたフェデラーとナダルは、お互いにこれ以上は望みようもないほどの復活劇をやってのけたと言えるだろう。ジョコビッチ、マレーというビッグ4の2人がいなくなった代わりに出てきたのが、フェデラー、ナダルのやはりビッグ4の2人だったという結末では、全く世代交代が行われていないということになってしまうが、それだけビッグ4は強いということなのだろう。

今シーズンを主役として締めくくるのは誰なのか?


フェデラーとナダルの復活、そしてA.ズべレフの台頭。

今シーズンを振り返るとそういうことになるのだろうが、まだシーズンは終わっていない。

フェデラーには5年振りとなる世界ランク1位に返り咲く可能性が残されている。

ランキング1位のナダルとは約2,000のポイント差があるが、地元のバーゼル、マスターズ最終戦のパリ、そしてツアーファイナルを全て勝つようなことがあると、ナダルの成績次第では今シーズン終わりでの世界ランク1位という可能性もゼロではない。

世界ランク16位で始まったシーズンを1位で終えるという、まさに夢物語のようなストーリーも、ひょっとしてフェデラーなら、などと思えてしまうところが、このレジェンドの恐ろしいところだろう。ただ、体力的に厳しくなればフェデラーはあえて無理はしないと思われるだけに、連戦となるバーゼルとパリをどういう成績とコンディションで乗り切ってくるかがランキング争いの見所となりそうだ。

ナダルはグランドスラムではリベンジを期していた全仏だけでなく、苦手としていた全米までも制することが出来た。

マスターズも既に2勝している。マレーとジョコビッチが抜けたことが大きく作用したとはいえ、3年ぶりにランキング1位にも返り咲きを果たした。苦しんだ昨年と比べれば十分過ぎるくらいの成績だろう。

しかし今シーズン、ナダルに心残りがあるとすれば、4回対戦したフェデラーに対して未勝利だということではないだろうか。

今シーズンが始まる前までは、34戦して23勝と実に7割に迫るほどの勝率で相性の良かったはずのフェデラーに対して4連敗中なのだ。実はその前の対戦となる2015年のバーゼルでもナダルはフェデラーに敗れているため、記録上は現在フェデラーに5連敗しているということになる。

この連敗が始まるまで、ナダルはフェデラーに3連敗すらしたことがなかった。それどころか逆にナダルはフェデラーを相手に5連勝を3回も過去にしているのだ。

ナダルがひざの故障でバーゼルを欠場したのが気掛かりだが、大事を取った程度の故障であれば、残されたパリ、そしてツアーファイナルで再びフェデラーとナダルが対戦が実現する可能性は十分にある。

このままでは終われない。

そうナダルが思っているかどうかは分からないが、再びフェデラーを破ったとき、ナダルは真に復活したと言えるのではないだろうか。

そして、スポットライトが当たる可能性はA.ズベレフにも残されているだろう。

今年のグランドスラムで、A.ズベレフはベスト8に一度も進むことが出来なかった。誰もが認める素質とプレー、そしてマスターズ2勝という輝かしい成績にも関わらず、今シーズンの主役にはなり損ねたと言えるだろう。

しかし、まだチャンスは残されている。マスターズ最終戦のパリ、そして厳しい試合が続くツアーファイナルの高いラウンドでフェデラーやナダルを破ることが出来れば、そしてタイトルを掲げることが出来れば、彼らの復活ばかりが目立ったシーズンに、ズベレフが支配する時代の予感という要素をもう少し付け加えることが出来るだろう。

ベテランのビッグ2が波乱を防いでしっかりとシーズンを締めくくるのか、A.ズベレフが世代交代をまた一歩進めるのか。それとも、序盤の活躍から失速してしまった印象のあるティームとディミトロフ、逆にようやく今シーズンのツアー初優勝を果たしたデルポトロ、決勝連敗の壁をついに突破したゴファン、いかなる時も油断は出来ないチリッチやツォンガなどのダークホースが爆発して来シーズンの活躍への期待をつなぐのか。

ジョコビッチ、マレー、ワウリンカ、そしてもちろん錦織も来シーズンはツアーに戻ってくるだろう。

その時に誰がどの立ち位置にいるのか。

残されたビッグタイトルの行方が見逃せない。

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