痛恨の敗戦
ブエノスアイレスの決勝戦で世界ランク66位のドルゴポロフに敗れて錦織は準優勝で大会を終えた。
錦織はこれまでドルゴポロフに対し、初対戦から5連勝中で負け無しだっただけに残念な結果としか言いようがない。だがドルゴポロフに初めて負けたことよりも気になることがある。なんと、この敗戦で錦織はATPツアーの決勝戦で6連敗ということになるというのだ。
本来はツアーの決勝に進出するだけで、十分結果を残したと言えるはずなのだが、せっかく決勝まで勝ち上がりながら、そこで6連敗というのはさすがに喜べない数字だろう。ましてやグランドスラムやマスターズの制覇を目標に掲げるような錦織クラスの選手となるとなおさらのことに違いない。
同期トップの成績
では、現在のトップ選手はツアーの決勝戦でどれくらいの結果を残しているのだろうか?
■ATPツアー決勝戦での勝率
ランキング | 勝率 | 勝 | 負 | 年齢 | |
---|---|---|---|---|---|
マレー | 1 | 0.672 | 45 | 22 | 29 |
ジョコビッチ | 2 | 0.695 | 66 | 29 | 29 |
ワウリンカ | 3 | 0.600 | 15 | 10 | 31 |
ラオニッチ | 4 | 0.421 | 8 | 11 | 26 |
錦織 | 5 | 0.500 | 11 | 11 | 27 |
ナダル | 6 | 0.670 | 69 | 34 | 30 |
チリッチ | 7 | 0.593 | 16 | 11 | 28 |
ツォンガ | 8 | 0.560 | 14 | 11 | 31 |
ティーム | 9 | 0.727 | 8 | 3 | 23 |
フェデラー | 10 | 0.654 | 89 | 47 | 35 |
モンフィス | 11 | 0.240 | 6 | 19 | 30 |
ゴファン | 12 | 0.250 | 2 | 6 | 26 |
ディミトロフ | 13 | 0.545 | 6 | 5 | 25 |
ベルディヒ | 14 | 0.433 | 13 | 17 | 31 |
プイーユ | 15 | 0.333 | 1 | 2 | 23 |
キリオス | 16 | 0.750 | 3 | 1 | 21 |
バウティスタ・アグ | 17 | 0.455 | 5 | 6 | 28 |
ソック | 18 | 0.333 | 2 | 4 | 24 |
ガスケ | 19 | 0.500 | 14 | 14 | 30 |
A・ズベロフ | 20 | 0.500 | 2 | 2 | 19 |
そこに来ると、ビッグ4の存在感はさすがとしか言いようがない。というか、もう圧倒的過ぎるくらいだ。4人全員が60%を超えている勝率も十分に素晴らしいのだが、勝利数はまさに圧巻だろう。
フェデラーの89勝を筆頭に、ナダル69勝、ジョコビッチ66勝、マレー45勝である。これに続くのは、現在のトップ20の中ではチリッチの16勝、続いてワウリンカの15勝、ツォンガとガスケの14勝、ベルディヒの13勝、そして錦織の11勝となっていて、ビッグ4と比べるとガクンと数字が落ちてしまう。この埋めがたい差があることが、この4人がビッグ4とされる理由だろう。
ただ、錦織の11勝11敗という数字自体は、なかなか立派なものだということも分かる。現時点では錦織よりタイトル数が多い選手は全員錦織より年上である。ラオニッチ、ティームといった若手が今シーズンを終了した時点で錦織を抜いてしまう可能性もあるのだが、錦織が同期のトップ選手であるということは間違いないだろう。
ちょうど5割という勝率については特別優れたものではないが、錦織が現在まで続く決勝6連敗を喫する前の数字は11勝5敗で勝率は0.688だったのだ。記録上はつくづくこの6連敗がマイナスに響いていると言えるだろう。
ただ、問題は連敗の数そのものよりも、その中身にある。
(「錦織は決勝で弱い?(2)」へつづく)
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