2020年トップ100選手使用のラケット&ウェア&シューズ （女子編）

2020年 女子トップ100使用ラケット

2020年シーズン、WTAのトップ100選手（1月20日付ランキング）が使用しているラケット、ウェア、シューズについて、全くアンオフィシャルに独自調査を実施した。※男子編はこちら

選手の契約内容やその時の事情というものがあるので、確度100％と断言することは出来ないものの、トップ100の選手ともなると、はっきりとスポンサードされていることが分かる選手も多く、実情からかけ離れたものとはなっていないだろう。

ラケットではトップがウィルソン、後続がヨネックス、バボラ、ヘッドという構図となっている。

トップメーカーの顔触れは男子と変わらないものの、男子では4番手だったヨネックスが2番手となり、しかもかなりトップのウィルソンに肉薄している。その後ろにバボラが続き、男子では2位だったヘッドが少し差のある4位に落ちている。

トップ10選手の使用ラケットをみると、ウィルソンが5名、ヨネックスが2名、バボラが1名、ヘッドが2名となっており、ウィルソンの圧倒ぶりがさらに際立ち、ヨネックスの優位性は薄れる結果となる。全豪オープン後には優勝したバボラ使用のケニンがトップ10入りしており、ウィルソン使用のクビトワがトップ10圏外に落ちているので、ウィルソン以外はまさに横一線の混戦模様となっている。

男子ではトップ100に使用選手がいないダンロップも、女子では5名の選手が使用しており、一定の存在感を保っている。ダンロップはグランドスラムの優勝候補に上げられそうな有力選手との契約は無いものの、中国の現ナンバー1であるワン・チャンを擁していることはマーケティング的には大きいかもしれない。

現状でマイナーな立場に置かれているメーカーとしては、将来有望な18歳のシフィオンテクが使用するプリンス、カサトキナが使用するテクニファイバー、そしてウィットバンクの使用するスノワートということになる。かつてはトップ選手が使用していたプリンス、ラコステの資本が入ったことで拡大指向だと思われるテクニファイバー、存在そのものがゼロからの復活を期すスノワートと、マイナーメーカーには三者三様の事情があると思われるが、上位メーカーの寡占度合いが高いだけに、シェアを伸ばすことは簡単ではなさそうだ。

2020年 女子トップ100着用ウェア

ウェアについては、トップ100の選手だけで19ブランドの使用が確認されており、男子と同じく混戦模様となっている。

男子と様相が異なるのは、トップ選手におけるナイキとフィラの占有率の高さである。

トップ10選手のうち、ナイキが実に7名、フィラが3名となっており、2社で独占する形となっている。もともとシェアの高いナイキにしても、トップ100全体でのシェアは2割に留まっており、実に効率よく上位選手と契約しているということになる。同様にフィラもトップ100全体でのシェアは1割のところ、トップ10には3人、全豪で優勝したケニンを加えると4人を送り込む形となっている。全豪オープンで同じウェアを見ることが多かったのも頷ける結果と言える。

トップ100全体のシェアでは同率2位となるアディダスとロットとしては、大きく割を食った形となっているが、圧倒的な支配力を誇る選手が存在しない現在のWTAツアーにおいては、大幅な順位の逆転も不可能では全くない。ケルバー、ムグルッサ、オスタペンコといった実力者の復活か、それともリバキナ、ブリンコバ、クズモバといった若手の成長か、誰かがトップ10にジャンプアップするような大きな結果を期待したいところだろう。どちらにせよアディダスとしては、大坂なおみを失ったダメージはかなり大きかったということになるのかもしれない。

2020年 女子トップ100着用シューズ

シューズについては、男子と同じくナイキの圧倒的なシェアの高さが目立っている。

アディダス、ロット、フィラ、ヨネックス、ホマについては、ウェア着用選手がそのままシューズも着用する抜群の信頼関係を示しており、使用選手が増えているナイキ、アシックスにしても、ラコステやハイドロゲンといったシューズ提供の無いウェアを着用する選手からの流入分が増えているだけとなっている。

男子と比べると、上位選手がナイキ、フィラといったシューズもカバーしているメーカーを着用していることもあり、ウェアとシューズで異なるスポンサードを受けている選手があまり目立たない結果となっている。上位選手のナイキとフィラの占有度が高過ぎることで、同じウェア（とシューズ）が多過ぎるという弊害も感じられてしまうほどである。

また一方で、トップ100選手といえども、きっちりとしたスポンサーが付いていないと思われる選手も散見され、契約内容ははっきりしないものの、テニスのツアーが甘くない世界だということをうかがわせる。残念ながら、広告効果の薄い小国の選手や、台湾出身のシェイ・スーウェイのように地理的、政治的な問題が足かせとなってしまう場合もあるようだ。