どちらが勝つか、普段よりも分からない。それが普通の決勝戦のはずなのだが、どこにでも例外は存在する。
驚異的なムスターの数字には及ばないものの、それに続くニコライ・ダビデンコがツアーの決勝戦で残した数字も素晴らしいものがある。
ニコライ・ダビデンコの決勝戦の勝率
| タイトル | 準優勝 | 通算勝ち | 通算負け | 決勝勝率 | 通算勝率 | 勝率差 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Thomas Muster | 44 | 11 | 625 | 273 | 80.0% | 69.6% | 10.4% |
| Nikolay Davydenko | 21 | 7 | 482 | 329 | 75.0% | 59.4% | 15.6% |
| Thomas Enqvist | 19 | 7 | 448 | 297 | 73.1% | 60.1% | 12.9% |
トップ10以外には無敗のニコライ・ダビデンコ
ダビデンコはその活躍時期がフェデラーの全盛期、そして続くナダル、ジョコビッチらの台頭の時期とかぶってしまっているため、どうしても2番手グループの印象が強いのは否めない。
実際、世界ランキングは最高3位、グランドスラムでは4回のベスト4がありながら、決勝進出は無しという結果となっている。
時代を代表するテニス選手として突き抜けることは出来なかったのかもしれないが、好調であれば非常に強力なプレーヤーであったことは間違いない。
ダビデンコはツアーの決勝戦を28回戦い、21勝7敗しているが、その7敗は全て対戦当時の世界ランキングでトップ10に入っている選手相手に喫したものである。
ダビデンコは、対戦当時の世界ランキングで11位以下の相手とツアーの決勝戦を16回戦い、なんとその全てに勝利しているのだ。
もちろん、ダビデンコはもともとランキング下位の選手に簡単に負ける選手ではない。
だが、ダビデンコはキャリア通算でトップ11以下の選手と695戦して444勝で、その勝率は63.9%である。確かにこれはかなり高い勝率だが、当たり前なことに無敵ではない。
それが何故かツアーの決勝戦となると、ダビデンコは負けないのだ。
ざっくりトップ11以下の選手と言っても、ダビデンコがツアーの決勝戦で対戦した相手には、ルゼドスキ、メルツァー、モナコらのトップ10経験者、さらにフェレーロ、サフィンなどのNo.1経験者まで含まれている。ツアーの決勝戦で彼らを相手に回してダビデンコは無敗という結果を残しているのだ。
ダビデンコが決勝戦で戦ったトップ10より下位の選手(対戦当時)
| 決勝戦 | 選手 | 対戦相手のランキング | ダビデンコのランキング |
|---|---|---|---|
| 2003年 Adelaide | Kristof Vliegen | 164 | 81 |
| 2003年 Estoril | Agustin Calleri | 37 | 61 |
| 2004年 Munich | Martin Verkerk | 17 | 60 |
| 2004年 Moscow | Greg Rusedski | 81 | 43 |
| 2005年 St. Polten | Jurgen Melzer | 47 | 13 |
| 2006年 Portschach | Andrei Pavel | 111 | 6 |
| 2006年 Sopot | Florian Mayer | 60 | 6 |
| 2006年 New Haven | Agustin Calleri#2 | 32 | 7 |
| 2006年 Moscow | Marat Safin | 65 | 5 |
| 2006年 Masters 1000 Paris | Dominik Hrbaty | 27 | 5 |
| 2007年 Moscow | Paul-Henri Mathieu | 24 | 4 |
| 2008年 Portschach | Juan Monaco | 14 | 4 |
| 2008年 Warsaw | Tommy Robredo | 19 | 4 |
| 2009年 Hamburg | Paul-Henri Mathieu#2 | 39 | 12 |
| 2009年 Umag | Juan Carlos Ferrero | 36 | 9 |
| 2011年 Munich | Florian Mayer#2 | 35 | 40 |
そしてダビデンコは、トップ10の選手を相手にした決勝戦では12戦して5勝7敗と確かに負け越しているのだが、ナダルに対してはツアーの決勝戦で3度対戦して、その3度全てに勝利するという離れ業を成し遂げている。ナダルに対しては決勝戦以外も含めた通算での対戦成績もダビデンコから見て6勝5敗と勝ち越していることを考えても、ダビデンコにとってナダルは決して戦いにくい相手ではなかったのだろう。ただそれでも相手はあのナダルである。ツアーの決勝戦での勝率が70.2%と決して弱くはないスーパーレジェンドのナダルを相手にして、2回のマスターズを含む決勝での対戦に勝ち切ったのは立派としか言いようがないだろう。
ダビデンコの天敵
特に準決勝でジョコビッチを破り、続く決勝でナダルを破って優勝した、2009年の上海マスターズでダビデンコが見せた強さは圧巻と言うほかはない。
もっと活躍出来たのではないか?
安定感と勝負強さを兼ね備えたダビデンコのキャリアを振り返るとそんな気もしてしまうが、ダビデンコには天敵がいたことにも触れておかなければならないだろう。
ダビデンコの天敵、それはダビデンコと同い年のフェデラーである。ダビデンコはフェデラーと21回対戦して2勝19敗、得意な決勝でも2度対戦して2度とも敗れている。さらにグランドスラムでも準々決勝で2度、準決勝で3度もフェデラーに敗れて決勝進出の夢を断たれているのだ。
フェデラーさえいなければ。
フェデラーと近い年に生まれた強豪選手の多くが一度は考えたのではないだろうか。史上屈指のプレーヤーの存在がダビデンコのキャリアに影響していることは間違いないだろう。
→続く
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