全豪オープンテニス2025。プロが使っているラケットのモデル（女子篇）

あくまで「見た目」でのおはなし

2025年の全豪オープンテニス（本戦）で女子選手が使用したラケットをモデル（製品）別にグラフにしたのが下記である。
※メーカー別ではこちら→全豪オープンテニス2025。プロが使っているラケットのメーカー（女子篇）
※男子篇はこちら→全豪オープンテニス2025。プロが使っているラケットのモデル（男子篇）

男子と同様、プロの選手は色々な都合によりコスメ（塗装）だけ変えてしまっている場合がありうるので、あくまで「見た目」でのモデル別となっている。

やっぱり「Blade」が多い！

男子でも突出した使用数を誇っていたウィルソンの「Blade」は、女子選手にも大人気のモデルとなっている。

全豪オープン本戦出場選手128名のうち、男子の27名をも上回る33人の女子選手が「Blade」をパートナーに選んでいる。比率にすると何と4人に1人を超える25.8%という圧巻のシェアを誇っている。

バドーサ、アンドレーワ、ハダッド・マイア、コスチュク、オスタペンコら多くの有力選手も「Blade」を選択しており、何よりも今まさに充実の時期を迎えている世界No.1、サバレンカのラケットも「Blade」である。

ウィルソンと言えば「Blade」と言ってしまいたくなるほど、「Blade」への偏りが見られるのだが、中国の成長株、ジャン・チンウェンは「ProStaff」だったり、アザレンカ、サッカリは「Ultra」だったりすることで、「Blade」以外のウィルソンのラケットも一応の存在感を保っていると言えるのかもしれない。

進撃のヨネックス

女子のラケット勢力図で男子と大きく異なるのは、ヨネックスの存在感の大きさだろう。

男子ではウィルソンの「Blade」、バボラの「PureAero」に続くシェア第3位となっていたヨネックスの「Ezone」だが、女子では堂々のシェア第2位、しかも男子における「blade」に匹敵する25人もの選手が「Ezone」を選択している。

そしてさらに「Ezone」に続くシェア第3位は、ヨネックスのもう1つの看板モデルである「Vcore」となっており、「Ezone」と「Vcore」を合わせると、そのシェアは30%を超えて、王者「Blade」を上回ることになる。

実際のところ、ウィルソンとヨネックスの全てのモデルを合わせると、そのシェアは67.9%にも達しており、現在の女子選手が使用するラケットは、ウィルソンとヨネックスの2強時代と言えるだろう。

当然、ヨネックスのラケットは多くの有力選手が使用しているが、主なところでは「Ezone」は、ペグラ、キーズ、そして大坂らが使用しており、「Vcore」は、パオリーニ、リバキナ、ナバーロ、そして日比野らが使用している。

対照的なヘッドとバボラ、そしてその他のメーカー

2強に続く存在であるヘッドとバボラだが、その製品モデル展開は実に対照的なものとなっている。ヘッドは「Speed」「Radical」「Gravity」「Boom」「Prestige」「Extreme」と実に6モデルを揃えており、一方のバボラは「PureDrive」「PureAero」「PureStrike」の3モデル展開となっていて、そのラインアップの種類に大きな違いがあるのだ。

今年の全豪オープンでヘッドとバボラのラケットを使用した女子選手の人数は、ヘッドが17人、バボラが16人と似通った数字となっているので、ラケット1種類あたりの使用人数ではバボラの方が多いことになっている。

ラケットの選択肢が多いのと、絞り込んでアピールするのと、どちらが良い戦略なのかは全く分からない。ただ、ヘッド、バボラのどちらにしても、ウィルソン、ヨネックスと比べてしまうと、だいぶ劣勢に立たされていることは事実だろう。

テクニファイバーは「T-Fight」を使用するシフィオンテクがいることで、それなりの存在感を示している印象はあるが、それをテコにどんどんシェアを拡大していく段階には入っていないようだ。

メーカーとしては歴史も知名度のあるダンロップだが、女子ではアン・リーが「FX500」を使用するのみにとどまっている。

スビトリーナが使用するダイアデムの「Axis98」、カサトキナが使用するアルテンゴの「TR990」、ヴェロニカ・エリアヴェツが使用するフォルクルの「Vostra」などのラケットは、今のところ知る人ぞ知るモデルと言えるだろう。テニスを見ない人が知らないのは当然だが、テニスに興味がある人でも知らなかったり、知ってはいても手に取ったことがある人はおそらく少数派だろう。

2025全豪オープンテニスで使われたラケットのモデル（女子）