待望のツアー優勝
日本の錦織がロシアのメドベージェフに勝利して、今シーズン開幕戦のブリスベンのタイトルを獲得した。
ついに勝った!
という印象だろう。
何しろ、錦織がツアータイトルを獲得したのは、当時19歳だったフリッツを破って4連覇を達成した2016年2月のメンフィス以来である。それから3年近い歳月が経っている。
■錦織のツアー決勝戦の勝敗(2016年2月〜)大会 | グレード | 対戦相手 | 勝敗 | |
---|---|---|---|---|
2016年 | ||||
2月 | メンフィス | 250 | フリッツ | ○ |
3月 | マイアミ | マスターズ | ジョコビッチ | × |
4月 | バルセロナ | 500 | ナダル | × |
7月 | カナダ | マスターズ | ジョコビッチ | × |
10月 | バーゼル | 500 | チリッチ | × |
2017年 | ||||
1月 | ブリスベン | 250 | ディミトロフ | × |
2月 | ブエノスアイレス | 250 | ドルゴポロフ | × |
4月 | モンテカルロ | マスターズ | ナダル | × |
10月 | 東京 | 500 | メドベージェフ | × |
10月 | ウィーン | 500 | アンダーソン | × |
2019年 | ||||
1月 | ブリスベン | 250 | メドベージェフ | ○ |
その間に錦織は、右手首の故障による欠場もあり、昨年の序盤には30位台後半までランキングを落とすなど、フィジカル面でのトラブルもあった。
昨年のツアーファイナルに出場出来ていることを考えれば、既に完全復活していると言ってよいのだろう。しかし、錦織はツアーの決勝戦での連敗が続いていただけに、新シーズンの開幕戦で優勝出来たことで、片付けておきたい山を先に一つ越えることが出来たのではないだろうか。
ただ、このブリスベンでの第1シードは、本来はナダルだった。
ナダルが左太腿の違和感により欠場したことで第2シードの錦織がトップシードとなり、錦織は自分よりランクの高い相手と戦うことなくツアータイトルを獲得することが出来たという面があることも否めない。
そして決勝の相手となったメドベージェフは、昨年急激にランクアップして来た若手選手の代表格であり、昨年の楽天オープンの決勝で敗れている因縁の相手でもあるが、まだトップ10に入ったことがない選手である。
錦織が今シーズンのビッグタイトル獲得を目指すのであれば、当然乗り越えなければならない障害でもあったのだ。
ブリスベンでの優勝で、錦織が今シーズン十分戦えることは分かった。
あとはどこまで昇れるかだろう。
その他の注目選手
決勝で錦織に負けたとはいえ、メドベージェフには今シーズンも注目が集まりそうだ。決勝までに破った相手は、マレー、ラオニッチ、ツォンガと全員が故障明けという点はあるにせよ、地力のある強豪選手である。この活躍を続けていけば、いよいよトップ10が見えてくるかもしれない。
昨年の左膝の手術以後、成績が振るわなかったツォンガだったが、このブリスベンではコキナキス、デミノーといった地元の実力選手、そして日本のダニエルを破って準決勝まで進出することが出来た。ランキングは200位台と厳しい位置まで落ちてしまったが、33歳のフランス人の完全復活を期待しているファンは多いだろう。
このブリスベンは9位の錦織の他に、75位の西岡、77位のダニエル、そして180位の内山の実に4人の日本人選手が本戦を戦うことが出来た。本戦ではByeが4つあったため、28人のドローの内の4人が日本人という稀に見る大会となった。
その中でも内山は予選を勝ち抜いた上に、1回戦でフランスの若手のアンベール、2回戦で現在のイギリスのエースであるエドマンドを破り、自身初のツアーベスト8に進出した。そこでシャルディーにフルセットのタイブレークで惜しくも敗れ、ベスト4進出は逃したものの、今後の活躍に期待を抱かせる大きな結果を残したと言えるだろう。
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