
生涯グランドスラムという金字塔
2020年2月、ロシアのマリア・シャラポワがツアーからの引退を表明した。
17歳という若さでウィンブルドンを制して以来、端麗な容姿、力強いプレースタイルと闘争心、そして、プレー中に発する大きな声、さらにドーピング疑惑など、賛否はあれど、コート内外の注目を集め続けた存在であることは間違いない。
20年の現役生活でシャラポワが獲得したタイトルは36個、獲得賞金だけで3,800万ドル、スポンサー収入などを加えた生涯収入では3億ドルを超えるとも言われており、まさに一時代を築いた女性アスリートの一人である。そのシャラポワの残した記録の中でも、最も価値があると思われるのが、生涯グランドスラムを達成したことだろう。
オープン化以降、生涯グランドスラムを達成した女子選手は、マーガレット・コート、クリス・エバート、マルチナ・ナブラチロワ、シュテフィ・グラフ、セレナ・ウィリアムズ、そしてマリア・シャラポワの6人しかいない。セレスも、ヒンギスも、エナンも届かず、おそらくビーナスも達成できないであろう生涯グランドスラムを、シャラポワが成し遂げたことは驚きに値する。