2018年 7月 の投稿一覧

グランドスラム決勝での連敗(4):ビーナス・ウィリアムズ

→(「グランドスラム決勝での連敗(1):イボンヌ・グーラゴング」)
→(「グランドスラム決勝での連敗(2):アランチャ・サンチェス」)
→(「グランドスラム決勝での連敗(3):マルチナ・ヒンギス」)

史上最強ウィリアムズ姉妹

ビーナス・ウィリアムズのキャリアを、妹のセレナ・ウィリアムズと分けて語ることは不可能だろう。

グランドスラム決勝戦の舞台に先に登場したのは、1歳年上の姉であるビーナスだった。17歳で迎えた1997年全米オープン決勝戦での最初の挑戦は、同い年で当時絶好調のヒンギスに敗れて準優勝に終わる。

そして、妹のセレナが2年後の1999年の全米でヒンギスを破って先に初タイトルを獲得する。しかし、すぐにビーナスも妹の後に続いた。2000年のウィンブルドンでダベンポートを破ってグランドスラムの初優勝を飾ると、全米でも、同じくダベンポートを破り、すぐに2冠目を獲得する。

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グランドスラム決勝戦での連敗(3):マルチナ・ヒンギス

→(「グランドスラム決勝での連敗(1):イボンヌ・グーラゴング」)
→(「グランドスラム決勝での連敗(2):アランチャ・サンチェス」)

鮮烈なデビューから早すぎる引退、そして復活

グラフの時代を終わらせたのがヒンギスなのかどうかは意見の分かれるところだろう。

しかし、間にセレスを挟みはするものの、グラフ以後で最初にツアーを支配する力を見せたのがヒンギスであることは間違いない。1997年の全豪を16歳3ヶ月という現在も残る最年少で優勝したヒンギスは、その年の全仏で準優勝した後、そこからウィンブルドン、全米、さらに翌年1998年の全豪と3大会連続でグランドスラムを制覇している。

オープン化以降、女子選手でグランドスラムを間を置かずに3大会以上連続で優勝することが出来たのは、コート、キング、エバート、ナブラチロワ、グラフ、セレス、ヒンギス、そしてセレナ・ウィリアムズの8人だけである。これだけでも当時のヒンギスの力が突出していたことが分かる。

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グランドスラム決勝での連敗(2):アランチャ・サンチェス

→(「グランドスラム決勝での連敗(1):イボンヌ・グーラゴング」)

グラフ VS サンチェス

スペインのサンチェスはグーラゴングよりも20年ほど後となる1990年代に活躍した選手である。

サンチェスは1989年の全仏で当時絶好調だったグラフを破り、自身初めてのグランドスラムタイトルを獲得している。これは大きな勝利だった。

前年の1988年、グラフは全てのグランドスラムを制覇して、マーガレット・コート以来となる年間グランドスラムを成し遂げたうえに、1989年の全豪も制して、グランドスラムを5大会連続で優勝中だった。サンチェスに全仏で敗れた後も、グラフはこの年のウィンブルドン、全米を制し、さらに翌年1990年の全豪まで3大会連続で優勝してしまったことを考えると、もしここでグラフがサンチェスに敗れることがなければ、前人未到のグランドスラム9大会連続優勝が達成されていたかもしれないのだ。

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グランドスラム決勝での連敗(1):イボンヌ・グーラゴング

グランドスラム決勝での最大の連敗

グランドスラムの決勝戦という舞台に立てただけで成功。

テニス選手としてのキャリアを客観的に考えれば、そう言っても大きな間違いではないだろう。世界中のテニス選手の中でグランドスラムの決勝を戦うことが出来るのは、男女を合わせても一年で最大16人しかいない。同じ年に2回、3回と出場する選手が出れば、その分人数の枠はさらに減っていく。

しかし、たとえ準優勝者としての栄誉が保証されているとしても、あと1回勝てば頂点に立てるというところで、最後の敗者として大会を去らなければならないのは、相当な悔しさを伴うに違いない。戦ったばかりの勝者を讃えるスピーチをしながら涙ぐむ準優勝者がいるのも無理のないことだろう。

次にいつ決勝の舞台に辿りつくことが出来るのか。

そのチャンスが無限にあるわけではないことは明らかだ。

そして、そのグランドスラムの決勝戦において、1度ではなく、2度3度と続けて負けてしまう選手もいる。

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